190:0.1 復活したイエスは、そのとき、領域の必滅者の上昇するモロンチア経歴を体験する目的で、短い期間ユランチアで過ごす準備をしている。モロンチアの生活のこの時は、人間の肉体具現の世界で過ごされることになっているが、それは、あらゆる点で、ジェルーセムの7つの大邸宅世界の進歩的なモロンチアの人生を通過するサタニアの人間の経験に対応するであろう。
190:0.2 イエスに固有のこのすべての力—命の天賦—は、そして、死からの復活を可能にしたものは、彼が、王国の信者に与え、そして、自然の死の束縛から今でも復活を確実にする永遠の生命の他ならぬこの贈り物である。[1]
190:0.3 領域の必滅者は、イエスが、この日曜日の朝墓から甦った時の同じ変遷の型か、モロンチアの肉体で復活の朝に甦る。これらの体に循環する血液はなく、そのような存在者は、通常の物質的な食物を摂取しない。それでも、これらのモロンチアの形態は実在する。様々な信者が、復活後のイエスを見たとき、かれらは、本当にイエスを見たのである。かれらは、幻影や幻覚症状の自己欺瞞の犠牲者ではなかった。
190:0.4 イエス復活に関する不変の信仰は、初期の福音教育のすべての支流団体の信仰の基本的な特徴であった。エルサレム、アレキサンドリア、アンチオケ、フィラデルフィアにおいては、すべての福音教師が、あるじの復活に対するこの絶対的な信仰において団結した。[2]
190:0.5 あるじの復活を宣言するマグダラのマリアの際立つ部分を考えるにあたり、ペトロスが使徒のそれであったように、マリアは、女性団体の主要な代表者であったということが記録されなければならない。その長ではなかったが、マリアは、女性労働者の主要な教師であり公の代弁者であった。マリアは、とても慎重な女性となっていたので、ヨセフの庭の管理人であると思った男性に、彼女が話すというその大胆さは、単に墓が空であると分かり、いかにぞっとしたかを示すに過ぎない。それは、マリアの愛の深さと苦悩、熱情の豊さであり、それが、見知らぬ男性への接近をユダヤ女性に従来から禁止されていることを、しばらくの間、忘れさせた。
190:1.1 使徒達は、イエスが自分達を置き去りにすることを望まなかった。したがって、かれらは、甦る約束と合わせて、死ぬことに関するすべての声明を軽んじていた。それが起こったようには復活を期待していなかったし、かれらは、疑いようのない、強制的な証拠と自身の経験の絶対的な裏付けに直面するまで信じることを拒否した。
190:1.2 彼らが、イエスに会い話をしたという5人の女性の報告を信じることを拒否したとき、マグダラのマリアは、墓に戻り、他は、ヨセフの家に戻り、そこで自己の経験を娘と他の女性達に伝えた。女性達は、その報告を信じた。6時直後、アリマセアのヨセフの娘とイエスに会った4人の女性は、ニコーデモスの家に行き、そこでヨセフ、ニコーデモス、ダーヴィド・ゼベダイオス、それに集合していた他の男性達にこれらの出来事すべてを伝えた。ニコーデモスと他の者は、女性達の話を疑った。かれらは、イエスが死から甦ったということを疑った。かれらは、ユダヤ人が遺体を取り払ったと推測した。ヨセフとダーヴィドは、その報告を信じる気があり、その思いがとても強く、墓を点検するために急いで行くほどであり、そうして女性達が説明した通りのすべてを見つけた。また、高僧が墓用の布を取り除くために寺院の衛兵の隊長を墓に行かせたので、墓所のその有り様を見たのはこの二人が最後であった。隊長は、それら全部を麻布に包み近くの断崖に放り投げた。
190:1.3 ダーヴィドとヨセフは、すぐに墓からエーリージャ・マルコスの家に行き、そこで、10人の使徒と上階の部屋で会合を開いた。ヨハネ・ゼベダイオスのみが、イエスが死から甦ったと、微かにではあるが、信じる傾向にあった。ペトロスは、最初は信じたが、あるじが見つけられなかった時点で険悪な疑いに陥った。彼らは全員、ユダヤ人が遺体を取り除いたと信じようとした。ダーヴィドは、反論しようとはしなかったが、去るに当たり、「あなた方は使徒である。そして、これらのことを理解すべきである。私は、あなた方と争うつもりはない。それでも、私は、今朝、使者達に集まるように手配をしたニコーデモスの家にこれから戻り、皆が集合したところであるじの復活の告知者として、彼らを最後の任務に送るつもりである。死後3日目に甦るとあるじが言われたことを聞いたから、私は、あるじを信じる。」通信と情報のこの自薦の長は、このように悄気て心細い王国の大使達に話して、使徒達を後にした。かれは、上の部屋からの帰り、使徒の全基金入りのユダの袋をマタイオス・レーヴィイの膝に落とした。
190:1.4 ダーヴィドの26人中の最後の使者がニコーデモスの家に到着したのは、およそ9時半過ぎであった。ダーヴィドは、即座に広々とした中庭に皆を集めて講演をした。
190:1.5 「諸君、同胞よ、君達は、私とお互いの誓いに基づき私に、そしてお互いにずっと仕えてきてくれた、そして私は、かつて誤った情報を君達の手に一度も発したことがないということをあなたに注目を促す。私は、王国の有志の使者として君達を最後の任務に送り出すと同時に、君達を誓いから解放し、それによって使者軍団を解散させるところである。諸君、私は、我々の仕事を終えたと宣言する。あるじは、これ以上人間の使者を必要としない。かれは、死から甦った。死んで3日目に再び甦ると、逮捕される前に我々に言われた。私は墓を見た—それは空であった。私は、マグダラのマリアと他の4人の女性と話した。その女性達は、イエスと話した。私は、今あなた方を解散させ、君達に別れを告げ、それぞれの任務に送り出す。そして、君達が信者として運ぶ知らせは次の通りである。『イエスは甦えられた。墓は空である。』」
190:1.6 出席する大半の者が、これを実行しないようにダーヴィドを説得しようと努力した。しかし、かれらは、影響を及ぼすことができなかった。そこで、使者達に思い留まらせようとしたが、使者達は、疑いの言葉を意に介そうともしなかった。そして、日曜日の朝、10時直前、この26人の走者は、復活したイエスの力強い真実-事実の最初の伝令者として出発した。そして、過去に多くの任務に着いたように、この任務に、ダーヴィド・ゼベダイオスと互いへの誓いの遂行に着いた。これらの男性は、ダーヴィドを格段に信頼していた。かれらは、イエスを見た人々と話すために留まりさえせずにこの任務へと出発した。使者達は、ダーヴィドの言葉をそのとおりに信じた。彼らの大多数は、ダーヴィドの言葉を信じ、いくぶん疑った者でさえ、同様に確かに、迅速に知らせを伝えた。
190:1.7 使徒達、王国の精神霊的軍団は、この日上の部屋に集い、そこで恐怖を表し、疑いを明確にしたとは言え、これらの俗人は、恐れを知らない、有能な指導者のもと、あるじの人の兄弟愛の福音を社会化する初の試みをして世界と宇宙の甦った救世主を宣言するために先へ進む。そして、使者達は、白羽の矢がたてられた代表が、進んでイエスの言葉を信じたり、または目撃者の証言を受け入れようとする以前に、この多時多端の活動に従事する。
190:1.8 この26人は、ベサニアのラーザロスの家、南のベーシェバからダマスカスと北のシドーン、それに東のフィラデルフィアから西のアレキサンドリアへの信者の中心地のすべてにむけて派遣された。
190:1.9 ダーヴィドは、同胞に暇乞いをすると、母を訪ねてヨセフの家に回り、それから皆で、イエスの家族に合流するためにベサニアに向かった。かれらは、自分達の俗世の所有物を処分してしまうまで、マールサとマリアのいるベサニアに滞在し、フィラデルフィアにいる姉妹の兄弟ラーザロスに合流する二人の旅に同行した。
190:1.10 ヨハネ・ゼベダイオスは、この時から約1週間をかけてイエスの母マリアをベスサイダの自分の家へ連れて行った。ジェームス、イエスの一番上の弟は、家族とエルサレムに留まった。ルースは、ラーザロスの姉妹とベサニアに残った。残るイエスの家族は、ガリラヤに戻って行った。ダーヴィド・ゼベダイオスは、イエスの末の妹ルースとの結婚後、6月の初旬マールサとマリアとともにベサニアを発ってフィラデルフィアに向かった。
190:2.1 イエスは、モロンチア復活時から天上の精霊上昇時まで、地上の信者に見える姿で19回にわたり姿を現した。かれは、敵にも、可視の自分の姿の顕示を精霊的に役立てることのできない人々の前にも現れなかった。墓での5人の女性への出現が、最初であった。2回目も、マグダラのマリアに、墓においてであった。[3]
190:2.2 3回目の出現は、この日曜日の正午頃ベサニアで起きた。正午直後、イエスの最年長の弟ジェームスは、1時間ほど前にダーヴィドの使者によってもたらされた知らせに思いを巡らせながら、マールサとマリアの復活した兄弟の空の墓の前にあるラーザロスの庭に立っていた。ジェームスは、常に一番上の兄の地球での任務を信じる傾向にあったが、長らくイエスの仕事との接触が途絶えており、しかもイエスが救世主であるという使徒の後の主張に関して容易ならぬ疑問へと流されていった。使者がもたらした知らせに、家族全体が、動転し、本当に途方にくれた。ちょうどジェームスが、ラーザロスの空の墓の前に立ったいると、マグダラのマリアが、その場に到着し、早朝数時間のヨセフの墓での経験を家族に興奮して伝えていた。話し終える前に、ダーヴィド・ ゼベダイオスとその母が到着した。ルースは、もちろん報告を信じ、ユダも、ダーヴィドとサロメと話した後で信じた。
190:2.3 その間、皆がジェームスを探し回り、彼を見つけ出す前に、ジェームスが墓近くの庭に立っていると、かれは、まるでだれかが肩に触れたかのような間近な存在に気づいた。彼が、振り返ると側に見なれない格好の緩やかな姿を見た。ジェームスは、話しをするには肝を潰し、逃れるにはあまりにも怯えていた。その時、見も知らぬ姿は、「ジェームス、私は君に王国の奉仕への呼び掛けに来た。同胞としっかり手を繋ぎ、私のあとについて行きなさい。」と言った。ジェームスは、自分の名前が口にされるのを聞いたとき、自分に話したのは一番年上の兄イエスであると分かった。彼らは皆、多かれ少なかれ、あるじのモロンチアの姿の認識に苦労をしたが、イエスが一度意思伝達を始めると、彼らの中の僅かの者だけが、その声を認識したり、さもなければ人を魅きつけるその人柄を確認するのに苦労をした。[4]
190:2.4 ジェームスは、イエスが自分に話していると察すると、膝をつきながら、「私の父、私の兄上、」と大声で言ったが、イエスは、話しをしながらジェームスに立つように言った。それから、二人は、庭を歩き、3分ほど話した。過ぎ去った数日間の経験について語りあい、近い将来の出来事を予測をした。家に近づくとイエスは、「ではジェームス、お前達を一斉に迎えるまで。」と言った。
190:2.5 彼らが、ちょうどベスファゲでジェームスを探しているときに、ジェームスは、家に走り、「たった今イエスに会い話したり、話した。死んではいない。甦っている。『では、お前達を一斉に迎えるまで。』と言って私の前から消えられた。」と大声で言った。ユダが戻ったとき、ジェームスは、ほとんど話し終えていた。そこでかれは、ユダのために庭でのイエスとの邂逅の経験を再び語った。彼らは全員、イエスの復活を信じ始めた。ジェームスは、そのとき、自分はガリラヤには帰らないと発表した。ダーヴィドは、大声で言った。「あの方は単に興奮している女性達だけに見られたのではない。強い心の男達も会うようになった。私は、彼自身に会うのを期待する。」
190:2.6 ダーヴィドは、長い間待たなかった。イエスの地球の家族とその友人、全部で20人の前にありありと現れたイエスの人間認知への4回目の出現は、マールサとマリアの他ならぬこの家で、2時にほんの少し前に起きた。あるじは、開いている裏口に現れて言った。「君達の上に平和あれ。かつて肉体をもつ私の近くに居た者に挨拶を、それに、天の王国の私の兄弟姉妹のために親交を。どうして疑うのか。全心で真実の光について行くことを選ぶのに、なぜそれ程までに手間取るのか。来なさい、君達すべてが、父の王国の真実の精霊の親交へと。」彼らが、驚きの最初の衝撃から立ち直り、あたかも彼を抱くために近づくかに見えたとき、イエスは、皆の視覚から消え失せた。
190:2.7 かれらは、疑っている使徒に起きたことを告げるために都へ急行したく思ったが、ジェームスは押し止めた。ただ、マグダラのマリアだけが、ヨセフの家に戻ることを許された。ジェームスは、庭で話しを交わしたとき、イエスが言ったある事のためにこのモロンチア訪問の事実を広く発表することを禁じた。しかし、ジェームスは、この日ベサニアのラーザロスの家での甦ったあるじとのさらなる会話を決して明らかにしなかった。
190:3.1 人間の目による認識へのイエスの5番目のモロンチア顕現は、アリマセアのヨセフの家に集まったおよそ25人の女性信者の面前で、この同じ日曜日の午後4時15分過ぎに起きた。マグダラのマリアは、この出現のわずか数分前にヨセフの家に戻っていた。ジェームス、イエスの弟は、ベサニアでのあるじの出現に関して使徒には何も伝えないようにマリアに頼んでおいた。かれは、姉妹信者への報告を控えるようには求めていなかった。従ってマリアは、女性全員に秘密の保守を約束させてから、ベサニアでつい最近イエスの家族といた間に起きたことを詳しく話しにかかった。突然で、しかも厳かな静けさが皆を襲ったとき、マリアは、この感動的な物語のそのただなかにいた。皆は、自分達のその真ん中に復活したイエスの目に見える完全な姿を凝視した。イエスは、皆に挨拶をして、「君達に平和あれ。王国の親交には、ユダヤ人も非ユダヤ人も、金持ちも貧乏人も、自由も束縛も、男も女もない。また、君達方は、天の王国の神と共に子息性の福音を通して人類を解放する朗報を発表するために召喚されている。この福音を公布し、福音への信仰を信者に確かめて全世界に行きなさい。そして、こうする間、病人への奉仕と気が弱く恐怖に支配されている者を力づけることを忘れてはいけない。私は、いつも地の果てまでさえも、君とともにいる。」と言った。そして、イエスは、このように話すと皆の視界からいなくなり、その間女性達は、顔を伏せて黙って礼拝した。[5][6][7][8]
190:3.2 これまでに起きているイエスの5回のモロンチア出現のうち、マグダラのマリアは、4回目撃していた。
190:3.3 午前の半ば頃、使者派遣の結果から、それにヨセフの家でのイエスのこの出現に関しての無意識の情報の洩れから、イエスが甦ったということ、多くの者が会ったと主張しているということが、都周辺で報告されていると、宵にユダヤの支配者達に情報が届き始めた。シネヅリオン会員達は、この噂に完全に興奮していた。ハナンージャとの慌しい相談の後、カイアファスは、その晩8時にシネヅリオン派の会議を招集した。イエスの復活に言及した者は誰でも、ユダヤの会堂から追放する措置が採択されたのは、この会議であった。彼に会ったと主張する者は誰でも、死に追いやられるべきであるとさえ提案された。しかしながら、この提案は、会議が、事実上、恐慌状態に境を接するほどの混乱に陥ったので、裁決には至らなかった。彼らは、イエスとは関係ないと敢えて考えた。彼らには、ナザレの男との本当の問題が、ちょうど始まったところだということが、明らかになろうとするところであった。
190:4.1 4時半過ぎ、フラーヴィオスという者の家で、あるじは、およそ40人のギリシア人信者への6回目のモロンチアの出現をした。あるじ復活の報告の議論に従事していると、戸はしっかりと閉じられているにもかかわらず、かれは、皆の真ん中に姿を現し、全員に向けて言った。「君達に平和あれ。人の息子は、地球でユダヤ人の間に現れはしたが、すべての人に仕えに来た。父の王国には、ユダヤ人も非ユダヤ人もいない。君達は皆、同胞—神の息子—である。それ故、君達が王国の大使からそれを受けたように、救済のこの福音を宣言して全世界に向けて行きなさい。そして、私は、信仰と真実の父の息子達の兄弟の関係で君達と親交する。」このように皆に託すと、かれは、去っていき、もう見えなかった。彼らは、夜ずっと家に残っていた。彼らは、思い切って出ていくには、あまりにも畏敬と恐怖に打ち負かされていた。その夜、これらのギリシア人もまた眠らなかった。これらのことを議論し、あるじが再び訪れることを望みながら寝ずにいた。この一団の中には、ユダが口づけで彼を裏切り、兵士がイエスを逮捕したときにゲッセマネにいたギリシア人の多くがいた。[9][10][11][12][13]
190:4.2 イエス復活の噂と追随者への数多い出現に関する報告は、忽ちのうちに広まり、全都は高い興奮状態にある。すでに、あるじは、自分の家族、女性達、およびギリシア人達に現れ、やがては使徒の間に現れる。シネヅリオン会員達は、ユダヤの支配者達にあまりにも突然に押しつけられたこれらの新しい問題の考慮を始めるところである。イエスは、使徒達のことを非常に考えてはいるが、訪ねる前に使徒達にさらに数時間の厳粛な反省と思いやりのある考察をさせることを願っている。
190:5.1 エッマウスに、エルサレムのおよそ11キロメートル西に、羊飼いの2人の兄弟が暮らしていた。その羊飼い達は、生贄、儀式、祝宴に参列して、過ぎ越しの週をエルサレムで過ごした。年上のクレオーパスは、多少なりともイエスの信者であった。少なくとも、ユダヤの会堂からは追放されていた。弟のヤコブは、あるじの教えに関して聞いたことに非常に好奇心をそそられてはいたが、信徒ではなかった。
190:5.2 この日曜日の午後、5時には数分前に、2人の兄弟は、エルサレムからほぼ5キロメートルの道路に沿って重い足取りでエッマウスに向けて歩きながら大真面目にイエスのことを、その教え、仕事、とりわけその墓が空であるということや、ある女性がイエスと話したという噂について話していた。クレオーパスは、これらの報告を半分は信じる思いであったが、ヤコブは、おそらくは全部が誤魔化しであると言い張った。二人が、家へと向かいながらこのように口論し、議論していると、イエスのモロンチア顕現、その7回目の出現が、旅を続ける二人の横側で起きた。クレオーパスは、しばしばイエスが教えるのを聞き、数回エルサレムの信者達の家で共に食事をしたことがあった。しかし、クレオーパスは、あるじが自由に二人と話したときでさえあるじだとは気づかなかった。[14]
190:5.3 短い距離を共に歩いた後で、イエスは言った。「君達に遭遇したとき、二人は何を熱心に言い交わしていたのですか。」イエスが話すと、二人は、じっと立って、悲しげな驚きでイエス見た。クレオーパスは、「あなたはエルサレムに滞在されたのに、最近起きた事を知らないということがあり得るでしょうか。」と言った。すると、あるじは、「どんな事ですか。」と尋ねた。クレオーパスは答えた。「これらの事柄に関してご存じないならば、神と全ての人々の前で言葉と行動において強力な予言者であるナザレのイエスに関する噂を聞かなかったのは、エルサレムであなたがただ一人です。主要な祭司長と我々の支配者達は、イエスをローマ軍へ引き渡して磔を要求しました。我々の多くは、非ユダヤ人のくびきからイスラエルを救い出す者が、彼であることを望んでいました。でも、それが全てではありません。磔にされてから今日が3日目であり、一部の女性達が、今朝とても早くに墓に行ってみますと、それが空であることがわかった、という申し立てに今日我々は、驚いているのです。そして、同じこれらの女性は、この男性と話したと主張するのです。イエスは、死から甦ったと主張するのです。そして、女性達がこれを男性達に報告しますと、2人の使徒が、墓に走って行き、同様にそれが空であることが分かったのです。」—ここで、ヤコブは、「でも、彼らは、イエスを見ませんでした。」と言って兄を遮った。[15]
190:5.4 一緒に歩きながらイエスは、二人に言った。「君達は、真実を理解するのに何と時間の掛かることか。君達が、この男性の教えと仕事に関すること、二人で議論をしたということを私に言うのであれば、私は、これらの教えに十二分に馴染みがあるので、君達に教示できるかもしれない。君達は、彼の王国が現世のものでないこと、神の息子であるすべての人が、天の父の愛の真実のこの新しい王国において愛ある奉仕を兄弟愛の親交の精霊的な喜びに解放と自由を見つけなければならないと、このイエスがつねに教えたことを覚えてはいないのか。君達は、病人や苦しめられている者に仕え、また恐れに縛られている者や、悪の俘にされている者を解放するこの人の息子が、すべての人のためにどのように神の救済を宣言したかを思い出さないのか。君達は、ナザレのこの男性が、エルサレムに行かなければならないと、自分を殺そうとする敵に引き渡されなければならないと、また3日目に甦ると弟子に言ったことを知らないのか。このすべてを君達は伝えられていないのか。そして、ユダヤ人と非ユダヤ人に対する救済のこの日に関し、彼の中で地球のすべての家族が祝福されるということに言及する個所を聖書で一度も読んでいないのか。貧しい者の叫び声を聞き、彼を探す貧しい者の魂を救うということ、万国が、彼を祝福されている者と呼ぶであろうということ。そのような救出者は、うんざりする土地の巨大な岩石の影のようなものであるということ。かれは、腕に子羊を集め、胸で優しくそれらを運び、本当の羊飼いのように群れに餌を与えるであろうということ。かれは、精霊的に盲目な者の目を開き、絶望の虜を完全な自由と光の中へ連れだすということ。暗闇に座る全ての者は、永遠の救済の大いなる光を見るということ。心傷ついた者に包帯を巻きつけ、罪の虜になった者に自由を宣言し、また恐怖の俘にされたり、悪に束縛される者の牢を開けるということ。かれは、悲しむ者を慰め、嘆きと重苦しさの代わりに救済の喜びを与えるということ。かれは、万国の願望と正義を求める者の永続する喜びとなるということ。真実と正義のこの息子は、癒しの光と救いの力を携え世界に甦るということ、人々をその罪から救いさえするということ。迷える者を本当に探し、救うということ。弱い者を滅ぼすのではなく、正義に飢え渇く全ての者に救済を施すということ。彼を信じる者は、永遠の命を得るということ。かれは、すべての肉体に自分の精霊を注ぐということ、そしてこの真実の精霊は、それぞれの信者の中で永遠の命へと湧き出る水の井戸となるということ。君達は、この男性が、君達に届けた王国の福音がどれほどに素晴らしいかということを理解していなかったのか。どれほどに素晴らしい救済がやってきたということを悟らないのか。」[16][17][18][19][20][21][22][23][24][25][26][27][28][29][30][31][32][33][34][35][36][37][38][39][40][41][42]
190:5.5 この時までには、この兄弟の住む村に近づいていた。道沿いに歩きながらイエスが二人に教え始めてからずっと、この二人の男性は、一言も話していなかった。三人は、兄弟の粗末な住いの前にすぐ到着し、そこでイエスは、道を下り二人を後にするところであったが、兄弟は、イエスに入って留まるように強いた。二人は、日暮れ近くであるということと、自分達と留まることを主張した。ようやく、イエスは同意し、そこで、三人は、家に入るとすぐに食べるために座った。兄弟は、祝福するパンをイエスに与え、イエスがそれをちぎり二人に手渡すと、二人の目は開かれ、クレオーパスは、自分達の客があるじ自身であると気づいた。そして、彼が「あるじさまだ、」と言ったときは、モロンチアのイエスは、二人の視覚から消え去った。[43]
190:5.6 そこで、「道路沿いに歩きながら話されているとき、心が熱くなり、聖書の教えを私達に分かり易く理解させたのも当然だ。」と二人は、お互いに言った。[44]
190:5.7 二人は、食べるために留まろうとはしなかった。二人は、モロンチアのあるじを見た。そして、家から飛び出し、甦った救世主の朗報を広げるためにエルサレムへと急いで戻った。[45]
190:5.8 その晩、9時頃、あるじが10人の前に現れる直前、この二人の興奮した兄弟が、上の部屋にいる使徒達に割り込み、イエスに会って話しをしたと主張した。そして、彼らは、自分達に言われた全てや、彼が誰であるかをパンをちぎるまで見分けていなかったこと全てを伝えた。[46]